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「邂逅」
ここはヴェスパーのWarrior's Champion。この店に陳列された幾多の剣の中に、一振りだけ他とは違う剣があった。人の目には同じに見えるが確かに何かが違っていた。
その剣には一人の剣の精が宿っていた。鍛冶屋が心を込めて打ったものと違い、この店にあるのは大量生産のいわば普及品である。そんな極普通の剣に精が宿る事は極めて稀な事であった。
剣の精の姿は普通、人には見えない。それを知っているのか、その精は自分の宿主である刀の柄に座り、店を訪れる戦士たちを見ていた。
英雄と呼べるだけの人間が何人も来た。精は自分が宿る刀を振るってくれる事を願い、戦士たちが自分を手に取るのを待ちつづけた。
だが戦士たちが手にしているのはいずれも稀代の名剣と呼べれるようなものばかり。当然、普及品である自らの宿主に視線を注ぐ者はいなかった。
剣の精は宿主を手に取る戦士を待っていた。
そんなある日の事…。
剣の精は今日も宿主に座り、店を訪れる人間を見ていた。
また扉が開かれ、客が入ってくる。
どう見ても駆け出しの魔術師、といった格好の男だった。長い銀髪を後ろに束ね、血の色をした瞳が目を惹いた。
男は店主に話し掛けると並んでいる剣に目をやった。剣の精はつまらなそうに男を見ていた。どう見ても戦士には見えなかったからである。
と、男と目が合った。実際見えるはずは無いのだが
(自分を見てる)
なぜかそんな気がした。
男は店主に代金を渡すと一振りの刀を手に取った。剣の精が宿る刀を。
男は刀を手に持つと銀行へと向った。彼は先程買った刀を銀行員に預けるとどこへともなく走り去って行った。
(??????)
剣の精は「何事?」と、わけがわからないと言った顔で銀行の保管箱の中で一人首をかしげていた。暫くすると男が戻ってきた。どこで手に入れたのか濃灰色のローブを纏い、紅のマントを身につけて。
男は再び刀を手に持ち、剣の精を見る。
「俺はアルサリス。よろしくな」
(!)
やはり見えていたのだ。目を白黒させる剣の精。アルサリスは刀を剣帯に吊るすと駆出した。
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